仕事をする上で、多くの人が気になることは休日の取りやすさです。美容師という職業には「子どもと遊ぶ時間が取れない」「恋人と休みを合わせられない」と言ったイメージを持つ人も珍しくありません。常に美を追求しつつ忙しく働いている印象の強い美容師ですが、実際の休日事情はどのようになっているのでしょうか。
この記事では、美容師の基本的な休日事情や、美容師の休日に関してよくある質問とその答えを解説します。休日の美容師がどのように過ごしているかも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
美容師の基本的な「休日事情」
美容師の仕事は、他の職業と比べると休みが多い職種とは言えません。美容師がどの程度休めるのか、どの日なら休みやすいのかは、新人美容師の多くが気になるところです。
ここでは、美容師の基本的な休日事情について解説します。一般的なサロンであればほぼあてはまる内容のため、職場選びの参考にするとよいでしょう。
1-1. 年間休日数の最低ラインである105日は確保される
休日が少ないと言われている美容師でも、雇用されて働いている限り年間105日以上の休日は確保されます。これは雇用先が大手グループでも、個人経営のお店でも変わりません。日本では労働基準法によって、雇用者の勤務時間に下記の上限が設けられています。
●1日8時間まで
つまり、1日8時間労働する場合は週の勤務日は5日までです。1年間は約52週のため、365日から260日の勤務日数を引いた105日が、法律で定められた年間の休日となります。
1-2. 週1休みが基本で完全週休2日制はほとんどない
法律的には年間105日の休日が確保されますが、残業や休日出勤として扱うことで、雇用主は1年間につき360時間までの時間外労働を要求することが可能です。この場合、1か月あたり約3.75日までであれば、出勤日を増やせます。
そのためサロンによっては、週1休みを基本として月に1~2日の休みを追加し、法に触れないギリギリのラインを責めるケースも珍しくありません。このあたりはサロンによって対応が異なっており、中には隔週で確実に週2休みを取らせるお店もあります。ただ、完全週休2日制を取っているサロンはさほどないと言ってよいでしょう。
1-3. 休日の主な曜日は月曜日もしくは火曜日
美容師の主な休日は、サロンが定休日となる月曜日か火曜日(関西は月曜日、関東は火曜日)が一般的です。これは、昭和初期に電力不足解消のため設けられた「休電日」の名残だと言われています。休電日がなくなった現在も、理容組合の取り決めとして地域ごとの休電日をもとにした定休日が残っていました。
規制がなくなった現在は自由に定休日を決められるため、サロンによっては他の曜日に定休日を設けているお店や年中無休のお店も存在します。ただ、昔ながらの慣習を受け継いでいるサロンは少なくありません。
1-4. 土日祝日は基本的に休めない
サロンにとって、一般の会社や学校が休みとなる土日祝日は、お客様が一気に来店する稼ぎどきです。何があっても絶対に休めないわけではありませんが、基本的に美容師が土日祝日に日頃から休日を設定することはまず困難だと考えましょう。
大規模なサロンのようにシフトに融通が利く場合や、暴雨・台風の直撃予定があり客入りの少なさが確定している場合などであれば休めるケースもあります。
【Q&A】美容師の休日に関するよくある質問
美容師の休日に関してはさまざまな質問がありますが、特に多い質問は下記の3つです。
●有給休暇はある?またある場合自由にとれる?
●美容師が土日祝日に休むのはほぼ不可能?
ここでは、美容師の休日に関するよくある質問3つへの答えを紹介します。
2-1. Q1:アシスタント時代は休日がないって本当?
アシスタントの美容師とはいえ、雇用されている立場であることに変わりはないため、しっかりと休日は取れます。労働基準法によって定められている勤務時間の制限に関しても適用されるため、年間105日の休日は確保できます。また、時間外労働を要求される場合でも、残業代が支払われないことはありません。
ただし、周囲に比べて技量が不足しているアシスタント時代は、休日でも自主練に出たり講習会に参加したりしなければならないケースがあります。すべての休日が潰れるわけではないものの、不満に感じてしまう可能性もあるでしょう。
2-2. Q2:有給休暇はある?またある場合自由にとれる?
美容師にも、当然有給休暇はあります。半年以上の継続した雇用期間のうち8割以上出勤している場合、勤続年数に応じた有給休暇を付与されることが労働基準法で定められた、労働者の権利です。また有給休暇は、本来労働者の希望に応じて自由に取得することができます。
ただし、お客様の数が多くなる土日祝日などに有給休暇を希望する場合は、他のスタッフの出勤状況を把握した上で1~2か月前から申請するなど、周囲への配慮が必要です。
2-3. Q3:美容師が土日祝日に休むのはほぼ不可能?
雇用されている美容師であれば、学生や一般的な企業に勤める会社員のように土日祝日に定休をもらうことは、ほぼ不可能と言ってよいでしょう。
どうしても土日祝日に休日を設けたい、という場合は「フリーランス美容師」として働くことも検討してはいかがでしょうか。フリーランス美容師は、特定のサロンに就職するのではなく、個人事業主として活動する美容師のことです。
フリーランス美容師について詳しく知りたい人は、下記の記事を参考にしてください。
美容師のよくある休日の過ごし方4選
休日の過ごし方に決まりはないものの、他の美容師がどのように過ごしているかが気になる人も多いでしょう。ここでは、美容師の休日としてよくある過ごし方を4つ紹介します。
〇スキルアップに励む
多くのサロンが定休日を設けることの多い月曜日・火曜日は、美容師向けの講習会や勉強会が少なくありません。カットやカラーといった技術だけでなく、一般常識や接客マナー、独立開店に向けたセミナーなど多彩です。
また、上司や先輩にお願いして撮影会へ同行し、プロが行うワンランクもツーランクも上の仕事を見学させてもらう人もいます。美術館や展覧会に足を運び、感性を磨くのもよいでしょう。
〇買い物・美容デーにする
普段は屋内での仕事に従事する反動から、休日は外で羽を伸ばしたいと考える美容師も多くいます。土日祝日だと混雑しやすい施設やお店でも、平日なら空いていることが多く人混みが苦手な人でも楽しみやすい傾向です。
土日祝日に比べて料金設定がリーズナブルな施設やサービスが多いことも、平日休みのメリットと言えるでしょう。また、仕事ではお客様の美に神経を尖らせている分、休みの日は自分の美を追求することに費やす人も珍しくありません。
〇友達や恋人と過ごす
お互いのスケジュールを合わせられる場合、友達や恋人と会って楽しく過ごすことでリフレッシュする人も多くいます。特に美容師同士の場合、勤めるサロンが違っても月曜日・火曜日で休みが重なることがほとんどです。テーマパークでゆっくり遊びたい場合でもわざわざ有給休暇を取る必要がないため、得した気分を味わう人も少なくありません。
〇ひたすら寝る
しっかりと休息を取ることも、有意義な休日の過ごし方です。お客様の都合が優先される美容師の仕事では、まとまった休憩が取れなかったり1日中立ちっぱなしだったりする日も珍しくありません。また、接客業ならではの気苦労もあります。時間を気にせずゆっくりと眠り、心と身体を休める休日の過ごし方もおすすめです。
まとめ
美容師は他の職業に比べて休日を取りにくい傾向にあります。また、基本的に土日祝日を定休日として指定できるサロンは滅多にありません。しかし、法律で定められた最低限の休日や有給は確保できるため、後は自分の希望が通りやすそうなサロンを探すとよいでしょう。
自分の好きな日に休日を設定したい場合は、高い技術を身につけて独立したりフリーランスとして働いたりする方法が考えられます。将来的にどの道を進むか、新人のうちから見定めて学ぶことが大切です。