コロナ禍における美容業界の倒産・廃業

コラム

新型コロナウイルスの影響で
破産などの手続きをとって倒産した事業と、事業を停止して法的整理の準備に入った企業が2020年2月から12月15日までの累計で800社になったことが、民間の信用調査会社帝国データバンクのまとめでわかりました。
(参考サイト:https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html

飲食が126社と最多で、次いでホテル・旅館70社などとなっています。

美容業界も「美容室」「エステティックサロン」の倒産のデータが上がっており、また倒産・廃業まではいかなくても店舗数を減らしている業者が多数あります。

 

理美容業界の倒産

新型コロナウイルスの影響以前にも全国の理美容所は
約37万店舗存在しており、同業者との競争激化や、家賃・人件費などの固定費、クーポンサイトなどへの掲載費・広告費がのしかかり
収益を圧迫している業者が多くみられています。

2019年どの理美容業者の倒産は過去最多の180件で
美容業が全体の9割を占める162件、理容業が18件となっています。

新型コロナウイルスの影響

理美容室は、新型コロナウイルスによる感染拡大の影響による緊急事態宣言の休業要請の対象ではなく、給付金の支給対象も除外されていました。(東京など地域によって給付金の支給がありました。)

ネイルサロンやエステ・脱毛サロンなどは休止を要請する施設の対象で、臨時休業するなど各々の対応に任されました。

感染症対策を徹底し営業を続けた店舗も、濃厚接触の懸念により消費者の外出自粛、来店数や客単価の減少、来店頻度の減少などで今後事業継続が難しくは単に至る中小企業が増える可能性があります。

上記であげた「美容業」は美容院、髪結業、美顔術業、マニキュア業、ペディキュア業、ビューティーサロン、ビューティドック、エステティックサロン。「理容業」は理髪店、床屋、理容院、理容所、バーバーとまとめられていましたが、各業種の動向はどうなっているのでしょうか。

2020年の倒産が過去最多を記録し、今後の経営もさらに難しいといわれている「ネイルサロン」をピックアップして見ていきましょう。

 

ネイルサロンの倒産

ネイルサロンの倒産は、近年相次いで参入してきたマンションサロンやホームサロンなどの小規模なネイルサロンが目立っています。

1~11月の間にすでに19件のネイルサロンが倒産していることが判明、2014年の18件を11月の時点で上回っています。

大手の美容関連企業や、独立したネイリストが市場に次々と参入した半面、店舗数が急増したことで競争が激化していることが背景とみられています。

美容サービスの中では資格が必要なく、小さいスペースかつ低資金で開業できるため参入障壁が低いとされているネイルサロン業態。
独立や開業するネイリストが多く、いまや3万店舗規模を超えるとみられています。

ただ、ネイルサロンの経営は年々厳しくなっており、もともと消費税の引き上げなどで節約志向の消費者が増え、不要不急というよりは嗜好品という感覚のネイルサービスは支出が抑制されやすい存在です。

100円ショップなどでプチプラのマニキュアが買えるようになり
質やカラーのバリエーションも向上。
安くて手軽に買えるので、少なくても3000円~高くて1万円以上かかるジェルネイルをするメリットがあまり見いだせないという女性もいます。

市販のマニキュアでもつくれるセンスのいいニュアンスネイルなどがYoutubeやインスタグラムで動画解説として公開され、セルフネイルの幅も広がりました。

また、自宅でできるジェルネイルキットも販売され、数万円でキットと材料を用意しセルフで施術を行うことができます。こちらもYoutubeなどで施術方法を学ぶことができるので、簡単なものなら自分でするようになったという女性もいます。

こういった理由から、実店舗で施術を受ける頻度が市場のピーク時より減少している傾向にあります。

ここに追い打ちをかけたのが新型コロナウイルスの感染拡大。

不要不急の外出が制限されデートや友達と遊ぶ機会が減った事や、在宅勤務の増加でオフィスネイルの必要がなかったりと、美容サービスの需要が大幅に減少しました。

また全国的に失業者や休業者も増え、収入の減少などで美容サービスにまわす支出を抑える傾向にあります。

コロナウイルスが収束の兆しを見せた9月ごろは、減っていたネイルの顧客が戻りはじめ需要減のピークは一時過ぎた傾向にありました。

感染予防対策を徹底し、リピーター向けのキャンペーンや新規顧客の獲得に注力したサロンは、売り上げを伸ばし顧客が戻っているという声もあります。

ただ、在宅勤務が普及された企業も多く
職場向けのネイルや夜の街に勤める女性の需要が大幅に回復する見込みはまだないようです。

「第3波」到来で年末にかけて倒産増加の恐れ

昨年12月には日本過去最多の感染者数が続いており、再び不要不急の外出の制限などが求められています。来年以降さらに店舗数が淘汰される見通しで、非常に厳しい状況下に置かれています。

今後のネイルサロン業界は、不要不急のサービスとして集客力が大事になってきます。

万人受けするデザインではなくサロンの得意なデザイン、強いデザインをブランディングし、そのテイストを気に入ってくれた人だけにターゲットを絞るという戦い方もあります。

 

また、ハンドマッサージやパック、新しい美容機器の導入など付加価値をつけたり、お客様の爪の健康状態をチェックし正しいご案内をできることもプロの技です。

ここなら通いたいなと思わせる戦略を練ることが、ネイルサロン業界を生き残るすべになるといえるでしょう。

 

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