お客様からのクレームは、美容師が自信を無くすきっかけとなったりお店の信用に影響したりといったデメリットがあります。しかし、クレームによって美容師の経験値がアップしたりお店の改善につながったりする場合もあります。
お客様の満足度を高めつつ自身のスキルアップを目指すためにも、適切なクレーム対応方法を身に付けておきましょう。
今回は、「美容師に寄せられることが多いクレーム事例」「適切な予防方法と対応方法」について解説します。理不尽なクレームを受けた場合の対処法にも触れるため、ぜひ参考にしてください。
美容師のよくあるクレーム事例をケース別に紹介!
美容師に寄せられるクレーム内容は、技術面・接客態度・費用面などさまざまです。お客様からクレームを受けないようにするためにも、まずはどのようなクレームが寄せられることが多いのか確認しておきましょう。
ここでは、美容師のよくあるクレーム事例を4つ紹介します。
1-1. 「技術」に対するクレーム
美容師へのクレームでよくあるのが、技術面に対するクレームです。美容師の技術不足やお客様とのイメージのすり合わせが不十分な場合に起こりやすいと言えます。
技術に対するクレームの具体例は、下記の通りです。
カラーやパーマであれば、お客様の希望に添えるように再度施術することもできます。しかし、短くしすぎた髪や傷んだ髪は元に戻すことができないため、注意が必要です。
1-2. 「接客」に対するクレーム
美容師には、接客態度へのクレームが寄せられることもあります。接客に対するクレームの主な原因は、お客様とのコミュニケーションの温度差や待ち時間への配慮不足などが挙げられます。
接客に対するクレームの具体例は、下記の通りです。
接客態度へのクレームは、お客様の感じ方が大きく影響します。よかれと思って行った対応が、お客様にとっては不快に感じることもあります。
1-3. 「費用」に対するクレーム
費用に対するクレームは、お客様がイメージしていた金額と異なる場合に発生しやすいことが特徴です。お客様への説明不足やスタッフ間での情報共有ができていないことが原因で起こることが多いと言えます。
費用に対するクレームの具体例は、下記の通りです。
お客様がイメージしていた金額と違うことに気付くのは、会計のタイミングです。金額に差があるほど、「騙された」「店側が間違っている」という気持ちを抱きやすくなります。
1-4. 「お客様の物品」に対するクレーム
美容室では、お客様の物品に関するクレームが寄せられる場合があります。美容師の不注意や管理不十分が主な原因です。
お客様の物品に対するクレームの具体例は、下記の通りです。
お客様の物品に汚れや破損があった場合、損害保険によりカバーすることになります。荷物の取り扱いは、お客様からの信用に大きく影響するため、管理を徹底しましょう。
【ケース別】クレームの適切な予防・対応方法
お客様からのクレームは、適切に対処することで美容師の経験となり、店舗側も業務の改善を目指すことができます。ただし、クレームは店のイメージに悪影響を及ぼしかねないため、なるべくクレームが出ないように気を付けることが最も大切です。
ここからは、クレームのケース別に適切な予防方法と対応方法について解説します。
2-1. 「技術」に対するクレーム
技術に対するクレームを防ぐには、事前カウンセリングでお客様とイメージを共有することがポイントです。ヘアカタログなどを見ながら完成形をイメージすることで、お客様とのイメージのズレを防ぎやすくなります。
カウンセリングでは、お客様が希望するスタイルや髪の悩みなどをヒアリングし、カットやカラーの流れを説明します。「カラーが入りにくい」「広がりやすくなる」など、髪質や状態によって考えられるリスクがあれば、しっかり伝えておきましょう。
技術に対してクレームが寄せられた場合は、まず謝罪をして不具合が起こった原因と経緯を説明することが重要です。次に、オーナーや店長など責任者に報告して対応を仰ぎます。
2-2. 「接客」に対するクレーム
接客に対するクレームの予防には、丁寧な挨拶と対応が効果的です。常連のお客様でも、客と美容師の関係性を忘れずに、失礼がないように接客しましょう。プライベートな話題に
触れたりなれなれしい口調で話しかけたりするのは厳禁です。
繁忙期など待ち時間が発生する可能性がある場合は、必ず一声かけて現状を伝えておきましょう。仕上げてほしい時間を確認しておくことで、お客様の不安軽減につながります。
接客に対するクレームを受けた場合は、不手際を謝罪した上で、自分より上の立場の人に相談しましょう。別のスタッフが対応するなどして、お客様の不満を溜めないことが重要です。
2-3. 「費用」に対するクレーム
実際の料金が予約時の料金と異なる場合や指名料が発生する場合は、カウンセリングの段階で明確に伝えておきましょう。ホームページやメールなどで「髪の長さや状態により料金が変わる可能性がある」とアナウンスしてある場合でも、口頭で再度伝えておくと安心です。
特に、施術中にシャンプーやトリートメントなどのオプションを勧める場合は、料金や内容を伝えて承諾を得ることが大切です。
費用に対するクレームが寄せられた場合は、まず気分を害してしまったことを謝罪します。「会計にミスがなかったか」「料金や追加オプションの説明があったか」を確認し、店側に非があれば責任者に報告して対応の指示を受けましょう。
2-4. 「お客様の物品」に対するクレーム
カラーやパーマの薬剤が衣類に付着することを防ぐには、丁寧な施術を心がけることがポイントです。お客様から預かった荷物の管理徹底には、「貴重品は自己管理をお願いする」「ロッカーの鍵は自分で管理してもらう」などの対策がおすすめです。
お客様の物品に対するクレームを受けた場合は、まずは誠意を持って謝罪しましょう。次に、責任者に相談し、クリーニング代または賠償金の支払いなどの対応を検討します。自己判断で補償について約束することは厳禁です。美容所賠償責任補償制度に加入している場合は、お客様の物品への損害リスクを軽減できます。
理不尽なクレームを受けたときはどうする?
お客様からのクレームの中には、悪質かつ理不尽なクレームも少なくありません。理不尽なクレーム例は、下記の通りです。
●対応しても次々とクレームを入れ続ける
悪意があるクレームに対しては、責任者に対応してもらうことが適切です。クレームが寄せられた場合は、態度や口調に注意してクレームの理由を増やさないように気を付けましょう。理不尽なクレーム対応で意識すべきポイントは、下記の通りです。
●クレーム内容をしっかり聞き取る
●落ち度に合ったレベルの謝罪をする
●返金や過大な要求の場合は結論をすぐに出さない
クレーム内容の聞き取りを行っている間に、クールダウンするお客様も少なくありません。クレームがあるお客様を別室に案内し、他のお客様が不快な気持ちにならないように配慮することも大切です。
まとめ
美容師に寄せられるクレームの原因は、美容師の経験不足やお客様とのコミュニケーション不足などさまざまです。お客様からのクレームを防ぐためにも、「分かりやすい説明」「イメージの共有」「丁寧な対応と施術」を心がけましょう。
クレームが寄せられた場合は、不手際があったことや気分を害してしまったことをお客様に謝罪し、オーナーや店長へ報告して適切に対応する必要があります。悪質なクレームや理不尽なクレームを受けた場合は、自己判断で行動せず、必ず責任者に対処してもらいましょう。