美容師と一口に言っても、ランクによって仕事内容には違いがあります。美容師としての働き方や収入面について知りたい人は、まずは各ランクの特徴を知っておくことが大切です。
美容師の収入はランクにより大きく変わるため、収入アップを目指すにはランクアップが欠かせません。
今回は、美容師のランク一覧とそれぞれのランクの仕事内容について解説します。ランク別収入目安とランクアップを目指すコツも紹介するため、ぜひ参考にしてください。
1. 美容師の「ランク」とは?
多くのサロンでは、美容師のランク制度を設けています。ただし、お店によってランクの名称はさまざまです。
美容師のランクを決める主な基準は、技術力とスキルの2つです。美容師のランクによって、お店での役割や待遇が異なります。ランクアップするほど対応できる業務の幅が広がり、給料面などの待遇もよくなる傾向にあります。
美容師にランクを付ける最大の目的は、お客様のニーズに合ったサービス提供を実現しやすくするためです。質の高いサービスを求めるお客様は、ランクが上の美容師を指名することができます。美容師にとっては、ランクに応じて指名がつきやすくなるというメリットもあります。
スキルアップや収入アップを目指すには、お店が設定するランクを1つ1つ上げていく必要があります。
2. 美容師のランク一覧|各ランクの仕事内容・収入も
美容師のランクは、経験が浅い下のランクからお店のマネジメントに関わる上のランクまで幅広く設定されています。
一般的な美容師のランクは、下記の通りです。
● ジュニアアシスタント
● スタイリスト
● トップスタイリスト
● ディレクターまたは店長
● 代表またはオーナー
ここでは、各ランクの仕事内容と年収額の相場を解説します。
2-1. アシスタント
アシスタントは、美容師としての修業期間中のスタッフです。お店で働きながら技術や接客の基本を学びます。
アシスタントに求められる主な役割は、次の通りです。
● 席へのご案内
● 受付や会計などの業務
● 施術道具の準備
● 店内清掃
● スタイリストのサポート
● シャンプーやマッサージ
スタイリストのサポートでは、カラーやパーマの補助を行います。シャンプーやマッサージなどは、基本的な接客を覚えてから担当できるようになります。
アシスタントの年収額の相場は、下記の通りです。
下積み時代と言えるアシスタントは、拘束時間が長いわりに年収が低くなる傾向にあります。地域差はあるものの、月収は14万~20万円程度です。
2-2. ジュニアスタイリスト
スタイリストデビュー直前の美容師は、ジュニアスタイリストと呼ばれます。中には、ジュニアスタイリストのランクはなく、アシスタント卒業後はスタイリストと呼ばれるお店もあります。
ジュニアアシスタントに求められる主な役割は、次の通りです。
● 難易度が高くないカット
● スタイリストのサポート
担当するお客様がいない場合は、アシスタント業務も行います。ジュニアスタイリストの基準は、「ジュニアスタイリストデビューから1年間」「指名数や売上などの数字で判断」など、お店により異なります。
ジュニアスタイリストの年収額の相場は、下記の通りです。
アシスタント時代と比べると、ジュニアスタイリストの年収は少しアップします。指名があれば年収アップも期待できますが、ジュニアスタイリストへの指名は少ないと言えます。
2-3. スタイリスト
スタイリストは、アシスタント期間を3年程度経験した美容師です。スタイリストになるには、スタイリストデビューの基準をクリアする必要があります。
スタイリストに求められる主な役割は、次の通りです。
● お客様からのヒアリング
● お客様への提案
スタイリストは、カットやカラーなどの施術を行うだけでなく、お客様の要望や悩みを正しく聞き取り、髪質や長さを考慮してデザインの提案も行います。
スタイリストの年収額の相場は、下記の通りです。
スタイリストになると年収が安定しやすくなります。指名によるインセンティブを設けているお店も多く、月収は25~30万円程度が相場です。ただし、アシスタントの指導などで拘束時間は長くなる傾向にあります。
2-4. トップスタイリスト
トップスタイリストは、基準となる売上を達成しているスタイリストです。売上の基準はお店により異なるものの、指名が多くて人気があるスタイリストほどトップスタイリストにランクアップしやすいと言えます。
トップスタイリストに求められる主な役割は、次の通りです。
● お客様のニーズに合った施術
● 多様なヘアセット
トップスタイリストには、カットやパーマなどの技術力はもちろん、高いヘアメイク技術やコミュニケーションスキルも必要です。指名してくれる固定のお客様が多いほど、次のランクを目指しやすくなります。
トップスタイリストの年収額の相場は、下記の通りです。
年収額の相場は、スタイリストと大きな差はありません。収入アップを目指すには、指名によるインセンティブを増やす必要があります。
2-5. ディレクター・店長
ディレクター・店長は、ショーの演出や店舗管理などを行います。スタイリスト経験が長く、専門的な知識や技術を持つ人がなることが多いポジションです。
ディレクター・店長に求められる主な役割は、次の通りです。
● 雑誌やホームページに掲載するモデルの対応
● 美容師への実技講習や講演
● 店舗の統括
● 人事管理やコスト管理
ディレクター・店長には、リーダーシップや管理能力も求められます。美容室の顔として施術に対応したり、店販で販売する商品の選定や打ち合わせをしたり、仕事内容は多岐にわたります。
ディレクター・店長の年収額の相場は、下記の通りです。
ディレクター・店長のランクになると、スタイリスト時代に比べて年収額が大幅にアップします。地域によるものの、月収は25~50万円が相場です。
2-6. 代表・オーナー
お店の経営や店舗管理などの責任を持つ美容師を、代表・オーナーと呼びます。美容師のランクにおける最上位で、美容師として施術を行う人もいれば、マネジメントに徹する人もいます。
代表・オーナーに求められる主な役割は、次の通りです。
● 人材育成
● 店舗管理
● スタッフの雇用
● 資金繰り
代表・オーナーは、経営者としてスタッフの雇用や資金繰りなども行います。他店との差別化やマーケティングなど、経営者としてのスキルも求められます。
代表・オーナーの年収額の相場は、下記の通りです。
代表・オーナーの年収額は、店舗の規模によって大きく異なります。年商が高い美容室であれば、年収700万円以上稼ぐことも可能です。
3. 美容師がランクアップを目指すために
コンスタントにランクアップしたい人や上位ランクを目指したい人は、「技術力の向上」と「周囲との調和」を意識しつつ日々の仕事に取り組みましょう。
美容師としてランクアップを目指すための具体策は、以下の通りです。
●技術力向上に向けた練習を怠らない
技術力向上には、日頃の練習や努力が欠かせません。「より高い技術を身に付けたい」「お客様に満足度の高い施術を提供したい」という仕事への熱意がある人ほど、着々と技術力が向上して経験値もアップします。
●人間性を高める
お客様や他の美容師との信頼関係を築くためには、自身の人間性を高めることが大切です。「自分の行動を見直す」「周囲からの意見を聞く」「チャレンジ意識を持つ」など、成長につながる行動を心がけましょう。
美容師がコンスタントにランクアップするには、目的意識を持って努力を続けることが大切です。
まとめ
多くの美容室では、美容師の技術力やスキルを基準としたランク制度を取り入れています。ランクには、アシスタント・スタイリスト・ディレクター・オーナーなどがあり、それぞれ仕事内容や待遇が異なることが特徴です。
見習い期間であるアシスタントは、年収が低い傾向にあります。一方、スタイリスト以上になると年収が大幅にアップします。コンスタントにランクアップを目指すために、日頃から技術力の向上と人間性を高める努力を心がけましょう。