美容師と言えば、お客様のヘアカットやヘアセットを颯爽と行う姿をイメージする方は多いでしょう。厳密には、お客様に美容サービスを提供できる美容師は「スタイリスト」と呼ばれます。スタイリストは技術の確かな美容師であり、アシスタントから十分な修行を積んだ方がなれる職業です。
スタイリストを目指す方は、スタイリストがどのような美容師であり、なるためには何をすればよいかを把握しておきましょう。そこで今回は、スタイリストの主な仕事内容・給料形態と、スタイリストを目指す方法を詳しく解説します。
目次
1. スタイリストはどんな美容師?
1-1. アシスタントとの違い
1-2. スタイリストの細かな種類・ランク
2. 美容師スタイリストの主な仕事内容
3. 美容師スタイリストの主な給与形態
4. 美容師スタイリストになるためには?
まとめ
1. スタイリストはどんな美容師?
美容師のスタイリストとは、シャンプー・カット・カラー・ヘアセットなど、お客様に提供する施術を一通り行えるサロンスタッフのことです。
スタイリストは美容師としての技術力やセンスが高いレベルにあり、サロンでの施術・接客は基本的にスタイリストが担当します。
1-1. アシスタントとの違い
スタイリストの助手として働く美容師はアシスタントと呼ばれます。スタイリストとアシスタントとの違いは、主に「仕事内容」「給料相場」の2点です。
●仕事内容
アシスタントの主な仕事内容は、スタイリストが使う道具の準備・シャンプー・店内の清掃・受付・レジ会計・備品管理などです。サロンを営業する上で欠かせないさまざまな雑用をこなしながら、スタイリストになるための修行をします。
対してスタイリストの仕事は、お客様が希望する美容サービスを提供することです。
●給料相場
アシスタントの平均月収は、15万~17万円が目安です。対してスタイリストの平均月収は26万円、手当や賞与を合わせると約31万円(※)となります。
(※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」)
1-2. スタイリストの細かな種類・ランク
サロンによっては、スタイリストの中に細かな種類・ランク分けを導入しているケースもあります。スタイリストの種類・ランクとしてよくあるものは、下記の3つです。
●ジュニアスタイリスト
ジュニアスタイリストは、アシスタントから昇進したばかりのスタイリストです。ジュニアスタイリストになるとヘアカットを任せてもらえるようになり、美容師としてのキャリアを積み始められます。ただし、指名料はつかないことが多く、アシスタントからの大きな給与アップは期待できません。
●スタイリスト
ジュニアスタイリストとして経験を積み、お客様にすべての施術を提供できるようになればスタイリストとして認められます。スタイリストになると指名料や手当がつくようになり、働き方や指名人気に応じた給与アップが期待可能です。
●トップスタイリスト
トップスタイリストは、スタイリストの中でも高い技術と人気を兼ね備えた美容師に与えられるランクです。トップスタイリストになると指名料のバック率が高くなり、役職手当が付いて経営にかかわりを持つケースもあります。
2. 美容師スタイリストの主な仕事内容
スタイリストが提供する美容サービスは多岐にわたり、美についての総合的な技術やセンスを求められる点が特徴です。
スタイリストの主な仕事を6つ挙げて、それぞれの仕事内容を簡単に紹介します。
●カウンセリング
カウンセリングは、お客様が希望する髪型・髪のカラー・ヘアケアに関する悩みなどをヒアリングする業務です。お客様の髪質や髪の状態、薬剤に対するアレルギーなどもチェックした上で、お客様の要望を満たせる最適な施術内容を決定・提案します。
●シャンプー
シャンプーは、カット前に髪や頭皮の汚れ・皮脂を落としたり、カラーリング後にカラー剤を落としたりするために行います。基本的な流れは、ブラッシング→予洗い→シャンプー→すすぎ→トリートメント→すすぎ→タオルドライの順です。シャンプーはアシスタントに任せるケースも多い業務です。
●カット
カットは、ハサミを使ってお客様の髪を切る業務です。お客様の頭の形や髪質・毛量、髪の生え癖などを考慮しつつ、頭全体のバランスもチェックしながら希望通りの髪型に仕上げます。前髪や襟足のカットなど、部分的なカットのみを提供するケースもあります。
●カラー
カラーは、カラー剤を塗布してお客様の髪を染色・脱色する業務です。カウンセリングでヒアリングした髪色を作れるようにカラー剤を配合して、髪の毛に素早く、均一に塗布する技術が必要となります。カラーが終わった後はカラー剤を除去するためにシャンプーを行います。
●パーマ・縮毛矯正
希望するお客様にパーマ・縮毛矯正の施術を行います。パーマの施術はワインディングと呼ばれ、さまざまな形・大きさのロッドを髪に巻いてパーマをかける内容です。一方の縮毛矯正では、縮毛矯正用の薬剤とヘアアイロンを使用して髪をまっすぐの状態にします。
●ヘアセット
ヘアセットは、シャンプー・カット・カラーなどの施術を一通り終えた後に、髪をブローしながらヘアアイロンやカーラーなども使用してヘアスタイルを作る業務です。お客様の予定に合わせて、アップスタイル・ダウンスタイルなどのヘアセットを行います。
また、美容師が着付け・メイク・ネイルなどを行うケースもあります。美容師の仕事内容は勤務するサロンにより異なるため、サロン側に確認しておきましょう。
3. 美容師スタイリストの主な給与形態
スタイリストの給与形態は、「基本給」と「歩合給」を組み合わせたものが多い傾向にあります。基本給と歩合給の組み合わせは、基本給で安定した給与を受け取りながら、歩合給によって給与アップを期待できる点が特徴です。
歩合給には、「ノルマを超えた分の指名売上に対して歩合が発生する」ものと、「ノルマ設定がなく指名売上の規定割合を歩合とする」ものの2種類があります。
「ノルマを超えた分の指名売上に対して歩合が発生する」歩合給は、指名売上のノルマを達成しなければ歩合給が支給されません。しかし、歩合の割合は高めに設定されており、指名が多いほど稼ぎやすくなります。
「ノルマ設定がなく指名売上の規定割合を歩合とする」歩合給は、指名売上の一部を安定して歩合給として受け取れる点が特徴です。ただし、歩合の割合は低いことが多くなっています。
スタイリストの給与形態はサロンによって異なるものの、基本的に歩合給は採用されています。歩合給は、担当するお客様が多ければ多いほど稼ぎやすい点が魅力です。
4. 美容師スタイリストになるためには?
スタイリストになるためには、下記の3通りの方法があります。
(1)アシスタント業務の技術基準をクリアする
「アシスタント業務の技術基準」とは、サロンが設定しているスタイリストになるためのキャリアパスです。スタイリストのサポートや受付・会計・掃除などから始まり、カラーやカット、ヘアセットなどの技術基準を全てクリアすることで、スタイリストデビューができます。
(2)スタイリスト技術試験を受ける
スタイリスト技術試験は、多くのサロンで実施されているスタイリストデビューのための試験です。カットモデルに対してアシスタントが接客・カウンセリングからヘアセットまでを行い、一定以上のクオリティで完成するとスタイリストへの昇進が認められます。
(3)アシスタントとして一定期間働く
アシスタントとしてスタイリストのサポートや店内業務をこなしながら一定期間働く方法です。アシスタントとしての下積み期間を明確に設定しているサロンでは、一定期間働いたアシスタントのみがスタイリストデビューできます。
美容師資格を持っていても、サロンに就職していきなりスタイリストになれるわけではありません。最初はアシスタントとして働き、スタイリストデビューまでには平均として3年程度の時間がかかります。
いずれの方法でスタイリストになれるかはサロンの規定によって異なるため、スタイリストを目指す方は事前に確認しましょう。
まとめ
美容師のスタイリストは、カウンセリング・シャンプー・カット・カラー・ヘアセットなどの施術を一通り行える人のことです。
お客様の髪型を希望通りに仕上げるスタイリストは、サロンの看板と呼べる存在です。スタイリストの給与形態には歩合給が導入されており、アシスタントよりも高い給与をもらえます。
スタイリストになるための方法は、「アシスタント業務の技術基準をクリアする」「スタイリスト技術試験を受ける」「アシスタントとして一定期間働く」の3つです。まずはアシスタントとして働き、十分な経験・技術研鑽をした上でスタイリストを目指しましょう。