美容業界で働くからには「多くのお客様から指名されて、美容室の顔になる存在を目指したい」と考える人もいるでしょう。自分自身の理想をいち早く現実化して生き生きと働くためには美容室のランク制度を正しく理解し、着実なステップアップを目指す努力が必要です。
当記事ではこれから美容師を目指す人・美容師になり立ての人に向けて、ディレクターの役割とアシスタントやスタイリストからステップアップするためのコツを解説します。
美容師の「ディレクター」とは?
多くの美容室では美容師の技術力や経験に応じたランク制度を採用し、美容師の給料や指名料に差をつけます。美容師の「ディレクター」とは、一般的に美容室のランク制度において上位に位置し、お店に対する貢献度が高い職種です。
美容室のランク制度はお店ごとに異なるため、ディレクターにあたる職種を「チーフ」「マネージャー」と呼ぶこともあります。以下は、ディレクター(チーフ・マネージャー)の代表的な役割です。
●髪質や骨格などに応じて、ヘアスタイルを提案する
●アシスタントやスタイリストの働きぶりを監督する
ディレクターはお店の中でトップクラスの技術・経験を持つことが多く、カット・カラー・パーマなどの基本・応用技術を備えています。ディレクターはお客様の指定したヘアスタイルを忠実に再現することのみならず、経験に基づいたアドバイスを行うことも可能です。さらにディレクターはアシスタントやスタイリストのリーダー的な役割を担当することも多く、他の美容師の施術や接客を監督します。
ディレクターの主な種類5つ
ディレクターとひと口にいっても担当する業務内容により、さまざまな種類に区分するケースもあります。美容室におけるキャリアプランに関する理解を深めるためにも、ディレクターの主な種類を理解しておきましょう。
ディレクターの主な種類と担当する業務内容は、以下の通りです。
2-1. サロンディレクター
サロンディレクターは、ディレクターを複数種類に区分する美容室において採用頻度が高く、比較的よく見かける職種です。ディレクターになったばかりの美容師は最初にサロンディレクターを担当し、より上のランクへのステップアップを目指します。
サロンディレクターはディレクターの中では駆け出しのランクとは言え、美容室内で一目置かれる立場です。サロンディレクターはお客様からの信頼も厚く、指名の取りにくい人気美容師として活躍できる可能性が高いと言えます。
2-2. アートディレクター
アートディレクターも、ディレクターを複数種類に区分する美容室においてよく見かける職種です。一般社会における「アートディレクター」とは広告やWebサイト制作においてクリエイティブチームの指示を取り、お客様の希望するデザインや世界観を実現する職種を意味します。
美容室における「アートディレクター」は通常業務の傍ら、雑誌や広告の撮影・ヘアショーへの参加などを担当することもある職種です。アートディレクターはクリエイティブな活動を多く担当することで、美容室のブランディングに貢献します。
2-3. クリエイティブディレクター
一般社会における「クリエイティブディレクター」とは、広告やWebサイト制作の総監督を担当する職種です。美容室における「クリエイティブディレクター」は、経営にも深く関わり、コンセプトに沿ったお店作りをサポートします。
また、クリエイティブディレクターはアートディレクター同様、美容室のブランディングにも貢献する職種です。ヘアショーでは、メイクや衣装も含めたトータルコーディネートを担当することもあります。
2-4. トップディレクター
トップディレクターの「トップ」は、「1位」や「首位」を意味します。美容室におけるトップディレクターはディレクターの中でも上位に位置し、特に優れた技術・豊富な経験を持つ職種です。トップディレクターになると名実ともに「美容室の顔」として花形の仕事を任される機会が増加し、人気美容師としてより生き生きと働くことが可能です。
2-5. エグゼクティブディレクター
エグゼクティブディレクターの「エグゼクティブ」は、「経営幹部」や「重役」を意味します。美容室におけるエグゼクティブディレクターは、ディレクターの中でもトップクラスに位置する重役で、美容室の経営や人材教育に関わる仕事も担当する職種です。
美容室の中には、エグゼクティブディレクターの指名料を2,000円以上に設定するお店もあります。そのため、スタイリスト時代と比較し、大幅な給料アップを狙うことが可能です。
美容師のランク・役職の階級を紹介!
美容業界での活躍を目指す人が着実なステップアップを図るためには、ディレクター以外のランク・役職制度についても知っておく必要があります。アシスタントとして美容室に就職してからスタイリスト・ディレクターを経験してオーナー・代表になるまでの道のりはおおむね、下記の通りです。
ただし、上記はあくまで、多くの美容室で採用される基本的なランク・役職制度です。美容室によってはディレクターが、店長よりも上位のランク・役職にあたる可能性もあります。
また、ランク・役職制度は美容室の規模の大小を問わず、お店独自のルールが適用される仕組みです。ディレクターになることを目標として努力する場合はあらかじめ、お店独自のランク・役職制度の詳細を確認するとよいでしょう。
ディレクターになるためには?
ディレクターは美容室内で上位に位置するランクであるため、簡単にはなれません。ディレクターになるためには、アシスタントからスタイリストデビューを目指す時以上に継続的な努力を重ねることが必要です。また、ディレクターには美容室への貢献も要求されるため、日々の仕事においては、お店の利益を考えて行動しましょう。
アシスタントが1日も早いステップアップを目指すためには、ディレクターとして活躍できる美容師の特徴を意識して努力することがおすすめです。具体的には以下が、ディレクターとして活躍できる美容師の特徴にあたります。
〇お客様のニーズをしっかり汲める美容師
ディレクターとして活躍するためには、多くのお客様の心をとらえて指名につなげる必要があります。ディレクターとして活躍する美容室はカウンセリング中の話しや提示された画像からお客様のニーズを汲み、ヘアスタイルに反映させることが得意です。お客様がニーズをうまく説明できない時には丁寧にカウンセリングし、「解消したい悩みは何か」「どのような状態が理想か」を明確化した上で、必要な施術を提供します。
〇技術と接客スキルをバランスよくもっている美容師
多くのお客様から指名されるためには、カット・カラー・パーマなどの高度な技術と十分な接客スキルの両方が必要です。ディレクターとして活躍する美容師は技術と接客スキルのバランスが良く、お客様にとっての「信頼できる美容師」です。
美容師が十分な接客スキルを習得するためには、手本となる先輩の働きぶりをよく観察し、目標にすべき点を真似しましょう。合わせてシャンプーやカットの練習を繰り返し、あらゆる方面から美容室に貢献することで、着実なランクアップを図れます。
まとめ
ディレクターとは美容室のランク制度において上位に位置し、高度な技術と十分な接客スキルをもとに多くのお客様を担当する職種です。アートディレクターやクリエイティブディレクターは時に雑誌や広告の撮影・ヘアショーへの参加などを通じて、美容室に貢献する仕事も担当します。
ディレクターになるためには自主的な努力によって、十分な技術を身につけることが必要です。合わせて手本となる先輩を真似したり、カウンセリング方法を工夫したりして、お客様と美容室に貢献できる人材を目指しましょう。