美容師で今よりも高い収入を得たい方は、美容師で年収1,000万円は達成可能かどうかが気になるのではないでしょうか。
美容師の年収1,000万円はかなりの高収入であるものの、達成が不可能というわけではありません。美容師としてのキャリアを積み、必要な条件を満たせば、年収1,000万円は達成可能です。
当記事では美容師で年収1,000万円を達成するための方法を説明した上で、年収1,000万円の達成に必要な条件などを解説します。
目次
1. 年収1,000万円を得ている美容師は存在する?
2. 年収1,000万円を達成するために必要な条件
2-1. スタッフの人数:5~6人以上
2-2. 1日あたり来店者数:10~15人
2-3. 客単価:8,000~9,000円以上
2-4. ひと月あたりの店舗売上:300万~350万円
3. 売上だけでなく経費にも注目!サロン経営の必要経費には何がある?
3-1. 固定費
3-2. 人件費
3-3. 消耗品費・変動費
まとめ
1. 年収1,000万円を得ている美容師は存在する?
まず令和3年賃金構造基本統計調査のデータによると、美容師の平均年収は約3,787,000円となっています。つまり年収1,000万円という数字は、平均年収の2~3倍です。
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」)
年収1,000万円の美容師になることは決して簡単ではないものの、実際に年収1,000万円を達成している美容師は少なからず存在しています。
ただし、年収1,000万円を得ている美容師は、単純にスタイリスト美容師として働いているわけではありません。ほとんどが独立をして自分のサロンを持ち、オーナーとして働いています。
一般的に、雇用されている美容師の報酬体系は「固定給(もしくは歩合給)+指名歩合給+店販給」です。
対して、サロンのオーナーとして働く美容師は店舗全体での売上の数パーセントが自分の利益となります。店舗が売上を伸ばすほどオーナーの得られる利益は大きくなりやすいため、サロンの規模によっては年収1,000万円を超えるケースも決して珍しくありません。
2. 年収1,000万円を達成するために必要な条件
美容師がサロンのオーナーとして働いて年収1,000万円を達成するためには、前提としてサロンがお客さんの来店が多い人気店でなければなりません。来店者数に合わせてスタッフの人数が必要であり、売上を伸ばすために客単価も高めに設定する必要があります。
それでは、それぞれの条件は具体的にどの程度であればよいのでしょうか。年収1,000万円を達成するために必要な4つの条件について、目安を解説します。
2-1. スタッフの人数:5~6人以上
店舗の売上を伸ばすためには美容師として働くスタッフが必要です。年収1,000万円を目指すサロンでは、スタッフの人数は5~6人以上が適切でしょう。
スタッフの人数が6人(スタイリスト4人・アシスタント2人)であれば、シフト制で1日に3人以上のスタッフが働けます。スタッフの人数が多いほどサービスの提供力が向上するため、より多くの売上を見込むことが可能です。
ただし、スタッフを多く雇用するほど人件費もより多く発生する点に注意してください。例として、スタッフがスタイリスト4人・アシスタント2人であれば年間の人件費は2,400万円程度です。
2-2. 1日あたり来店者数:10~15人
お客さんの1日あたり来店者数は、サロンの売上に直接かかわるポイントです。お客さんの1日あたり来店者数が多いほど、サロンの1日あたりの売上は大きくなり、ひと月あたりの売上・年間の売上も比例して高くなります。
厚生労働省が2015年に行った「平成27年度 生活衛生関係営業経営実態調査報告」によると、美容室における1日あたり来店者数の平均は下記の通りとなっていました。
(出典:厚生労働省「平成27年度 生活衛生関係営業経営実態調査報告 美容業」)
サロンのオーナーが年収1,000万円を達成するためには、平均よりも高い来店者数を目指すことが必要です。1日あたり来店者数が10~15人であれば、平均の2~3倍となるため年収1,000万円の達成に近づきます。
2-3. 客単価:8,000~9,000円以上
客単価とは、お客さん1人あたりがサービスに対して支払う平均額です。年収1,000万円を達成するためには、客単価は8,000~9,000円以上とやや高めに設定する必要があります。
「平成27年度 生活衛生関係営業経営実態調査報告」によると、客単価の平均(客1人あたり平均料金)は5681.3円です。平均よりも高い客単価に設定すれば、オーナーが得られる年収を高めやすくなります。
(出典:厚生労働省「平成27年度 生活衛生関係営業経営実態調査報告 美容業」)
ただし、客単価を高く設定した上でお客さんに来店してもらうためには、高い客単価を納得してもらうだけの技術力とサービスの質が必要です。
2-4. ひと月あたりの店舗売上:300万~350万円
ひと月あたりの店舗売上は、300万~350万円が必要です。店舗売上から経費を差し引いた残りが利益となるため、年収1,000万円を達成するためにはひと月あたりの店舗売上を高めなければなりません。
ひと月あたりの店舗売上は、下記の計算式で算出可能です。
例えば1日あたり来店者数が10~15人、客単価を10,000円に設定して、美容室を月に25日営業した場合、ひと月あたりの店舗売上は下記の通りとなります。
1日あたり来店者数と客単価の条件を達成していれば、ひと月あたりの店舗売上300万~350万円も達成しやすくなるでしょう。
3. 売上だけでなく経費にも注目!サロン経営の必要経費には何がある?
サロンを経営する上では必ず経費が発生します。利益を伸ばすためには売上を高めることが重要であるものの、経費は売上に比例することが多く、売上を伸ばしても必要経費が多いと十分な利益は得られません。
美容師が年収1,000万円を達成するためには、経費にも注目することが大切です。
最後に、サロン経営における3つの必要経費を紹介します。
3-1. 固定費
固定費は、売上などに左右されず一定額が発生する費用です。
サロンの固定費としては下記の費用が挙げられます。
一般的なサロン経営でかかる固定費は、毎月30万円程度です。固定費の中で最も高額なものは「店舗の家賃」であり、立地条件が良好で店舗が広いと家賃も高くなる傾向があります。
ただし、固定費を安くするためであっても、安易に店舗の家賃を削減することはおすすめできません。店舗の立地条件や広さはサロンの集客力・魅力と関係しており、立地条件や広さの条件が悪い店舗を選ぶと、売上そのものが悪化する可能性があるためです。
サロンの家賃は、売上の10%以下に抑えることが望ましいと言われています。ひと月あたりの店舗売上300万~350万円を目標とする場合は、家賃を月30万~35万円以下に設定して、固定費の予算を決めていきましょう。
3-2. 人件費
人件費は、雇用するスタッフに支払う給与・各種手当にかかる費用です。
サロンの給与額は、下記が目安となります。
例としてスタイリスト4人・アシスタント2人を上記の基準で雇用した場合、ひと月あたりの給与支払は178万円です。
さらに社会保険料の会社負担は給与の約15%程度かかるため、合計すると205万円程度がひと月あたりの人件費としてかかります。
経営するサロンを人気店にするためには優秀なスタッフを十分に確保する必要があり、人件費は削減が難しい経費と言えます。無理に削減するとスタッフのモチベーション低下や離職による人手不足につながるため、経費削減の対象には人件費をなるべく含めないことがおすすめです。
3-3. 消耗品費・変動費
消耗品費・変動費とは、サービス提供で使用する消耗品の購入費など、売上の増減によって変動が発生する費用です。
サロンの消耗品費・変動費としては下記の費用が挙げられます。
消耗品費・変動費は基本的に売上の増減と比例関係にあるため、一見すると削減が難しい費用です。しかし、「在庫を持ちすぎない」「廃棄ロスを減らす」などの努力で経費削減につなげられます。
サロンにおける消耗品費・変動費は、売上の5%以内に収めることが望ましいと言われています。ひと月あたりの店舗売上が300万~350万円であれば、消耗品費・変動費は15万~17万円以下を目安としましょう。
まとめ
美容師が年収1,000万円を達成するためには、基本的に独立してサロン経営をすることが必要となります。
サロン経営をしても簡単に年収1,000万円を達成できるわけではなく、スタッフの人数や1日あたり来店者数、客単価の設定が重要です。条件を満たせばひと月あたりの店舗売上300万~350万円に届き、年収1,000万円を達成しやすくなります。
サロン経営では固定費、人件費、消耗品費・変動費といった経費についても考えなければなりません。可能な限り無駄な経費を削減することで、サロン経営で年収1,000万円を達成できるでしょう。