美容師の「アシスタント」とは?主な仕事内容とキャリアアップ方法も

コラム

美容師になるためには厚生労働大臣指定の養成学校を修了し、国家試験に合格する必要があります。美容師として就職後はアシスタントとして経験を積み、さまざまな技術・スキルを習得したうえで、スタイリストになる流れです。

当記事では美容業界で働く夢を持つ人のため、美容師のアシスタントが担当する仕事内容や平均給与を解説します。なるべく早くスタイリストデビューをするために必要な努力や就職先選びのコツも把握し、人気美容師になる夢を叶えたい人はぜひ参考にしてください。

美容師の「アシスタント」とは?

美容師のアシスタントとは、養成学校を卒業して国家試験に合格した人が美容室に就職し、最初に担当する職種です。アシスタントはスタイリストのヘルプ・サポート業務や美容室の運営サポート業務を担当しつつ、一人前の美容師になるための必須スキルを磨きます。

美容室の営業時間外にスタイリストの指導を受けて、カットやカラーなどの練習を行うことも、アシスタントの重要な役割です。美容室の営業時間内にアシスタントはスタイリストの施術・接客を間近で目にし、実践的なテクニックやお客さんとのコミュニケーション術の習得を図れます。

1-1. アシスタントとスタイリストの違い

美容室におけるアシスタントとスタイリストでは、担当する仕事内容や給与体系が異なります。スタイリストは美容室に来るお客さんを担当し、カウンセリング・カット・カラーなどの美容サービスを提供します。アシスタントはスタイリストのサポート役として、美容サービスの提供に必要な薬剤・道具を用意したり、お客さんの案内や会計などの雑務を担当したりする立場です。

スタイリストの給与は一般的に、基本給と歩合給を組み合わせて支給されます。歩合給の金額は売上に応じて変動するケースが多く、自分自身の努力による給与アップを図ることが可能です。

一方でアシスタントには一般的に、基本給と交通費が給与として支給されます。美容室によってはトリートメントの販売実績などに応じた歩合給を支給するケースもあるものの、成果に応じた給与の変動幅は限定的です。

アシスタントの主な仕事内容

美容室においてアシスタントが担当する仕事内容は、非常に多岐に渡ります。就職後のギャップを回避するためには、多くの美容室でアシスタントが担当する仕事内容を正しく把握し、心積もりを持ちましょう。

美容室におけるアシスタントの主な仕事内容は、大きく分けて2種類です。

2-1. スタイリストのヘルプ・サポート業務

多くのお客さんから指名されてカットやカラーなどを担当するスタイリストは、多忙です。アシスタントは多忙なスタイリストが快適に動ける環境を整えるため、ヘルプ・サポート業務を担当します。以下は、スタイリストのヘルプ・サポート業務に含まれる仕事内容の具体例です。

・シャンプー
・トリートメント
・カットやパーマ用具の準備・サポート
・カラー剤の調合・塗布
・マッサージ
・カット後の掃除
・ブロー・スタイリングのサポート

ヘルプ・サポート業務を担当する際にはスタイリストの立場に立ち、「どのように行動すればスムーズに動けるか」を判断する必要があります。たとえば、「パーマ用具を手渡す際にペーパー・ロット・輪ゴムの出し位置やタイミングを工夫し、スタイリストの便宜を図る」などの配慮が必要です。

2-2. 雑務などの運営サポート業務

アシスタントは美容室の経営を成立させるために省略できない雑務や、運営サポート業務も担当します。以下は、アシスタントの担当する雑務・運営サポート業務の具体例です。

・お客さんのお出迎え・受付
・荷物の預かり・席への案内
・会計
・店内清掃
・開店・閉店作業
・タオルやクロスの洗濯
・予約や問い合わせの電話対応
・チラシの配布

アシスタントが雑務・運営サポート業務を担当する際には明確な目的意識を持ち、モチベーションを高く維持することが大切です。たとえば店内清掃する際には「お客さんが快適に過ごせる環境を整備する」などの目的を意識し、意欲的に取り組みましょう。

アシスタントの平均給与

アシスタントの平均給与は、月収15万~17万円程度が目安です。アシスタントの月収を年収換算すると、180万~200万円程度であることが多いと言えます。月収から研修費を差し引く美容室では手取り額がより低くなるケースもあり、家計に極めて余裕があるとは言えません。

ただし、アシスタントの平均給与は、美容室の規模や地域によって異なります。アシスタントの平均給与は美容室の方針に左右されるケースも多いため、事前によく確認したうえで就職先を決めることが大切です。

アシスタントが経験を積み、スタイリストへランクアップすると一般的には、平均給与が上がります。スタイリストの平均給与は経験年数や人気度に左右される傾向があるものの、月収21万円以上を得られるケースが大半です。

美容室内で特に人気の高いスタイリストの中には、月収100万円以上を得る人もいます。美容師は自分自身の取り組みによって給与アップを実現できる職種であることを念頭としてアシスタント時代から、コツコツと努力しましょう。

アシスタントの大変なこと

美容師はお客様の髪の毛をカットする「スタイリスト」としてデビューする前に、「アシスタント」として経験を積みます。

お店の規模やカリキュラムによりますが、スタイリスト期間の平均は3年ほどです。基本的に1年目では接客やシャンプー、トリートメント、マッサージ、ブロー、カラーなどの基礎を、2年目でカット、パーマ、3年目でカットやパーマの応用を習得していきます。

まずはこの「アシスタント時代」の大変なことを見ていきましょう。

4-1. 雑用や補助の業務が多い

美容室に就職したばかりのアシスタントはお客様の施術を行うスキルがまだ身についていません。そのため、先輩スタイリストの指示通りの道具を準備したり、シャンプーやマッサージなど補助業務からスタートします。また、お店の掃除やゴミ捨て、洗濯、受付のお会計など雑用業務もこなします。

将来スタイリストとしてデビューするための下積み期間として、意欲的・積極的に取り組むことが、アシスタント時代を乗り越える秘訣です。学校の延長で「教えてもらっている」という意識だと、いずれアシスタント業務が辛くなってしまいます。

4-2. 拘束時間が長い

店舗にもよりますが、アシスタントは誰よりも早く出勤して掃除を行い、閉店後も掃除などの雑務を終わらせ一番最後に退勤するという所もあります。

また、カットやパーマなどの自主練習は閉店後の業務終了後に行います。自主練習は強制ではありませんが、早くスタイリストデビューしたいという思いから、ほぼ毎日取り組んでいるという人がほとんどです。

4-3. 同期との差が出やすく落ち込みやすい

特に大きな店舗だと、同時入社の同期が複数人いることがあります。スタイリストとして認められるには、お店独自の昇格試験に合格する必要があります。

各自持っている能力が違うため、要領よくなんでもできる人や、コミュニケーションは苦手な一方で施術は安定している人などさまざまです。お店が求めている基準や状況によって、同期だとしても差が出てくることはありえます。

ネガティブになりすぎずに、自分の得意分野を伸ばしつつ、自分より能力が上だと思う人は参考にしていきましょう。

4-4. お給料が低い

アシスタントは当たり前ですが、お客様を呼ぶ集客力がありません。施術もできず生産性もないため、アシスタントのお給料は低く年収200万円程になっています。さらに税金が引かれるため、毎月の手取りは10万円程度になるお店もあります。

それは有名店だとしても同じです。逆に有名店のほうが、有名アシスタントの下に就くことができるという事でお給料が安いところもあります。スタイリストとしてデビューすると歩合で稼ぐことができるため、それまでの下積み期間として技術をしっかり学びましょう。

4-5. 休みが少ない

美容師の休日は1ヶ月4日~6日と少なく、その休日でさえも講習会や自主練など仕事にかかわることに費やすため、他の職業と比べてプライベートの時間が少ないと言えます。

4-6. 友達・恋人と予定が合わない

土日祝日はかき入れ時のため休みを取ることは難しく、休みも週1日程度です。有給や連休もあまりないため、周りの友達と休みが合わせづらくなります。美容専門学校は基本2年で卒業するため、3年生の学校に通っている友達や大学生が周りにいると、中々予定が合わず寂しい思いをしたという話もききます。

美容師アシスタントの大変なことをいくつかあげましたが、これらが理由でアシスタントを辞めてしまい、専門学校の学費や通った時間、揃えた材料・道具代を無駄にしてしまったという人は一定数います。

アシスタントからスタイリストになるまでの平均的な期間

アシスタントからスタイリストになるまでの期間は平均的に、2~3年程度です。
ただし、スタイリストになるまでの期間は、美容室の方針や個人の成長スピードに左右されます。2年を待たずにスタイリストになれる人もいれば5年以上を要する人もいるため、平均的な期間は、参考程度にとらえましょう。

アシスタントからスタイリストになるための条件は、美容室ごとに異なります。以下は、多くの美容室で採用される条件です。

・経験年数
・スタイリスト昇格試験への合格

経験年数を条件とする美容室では規定の年数だけ勤務すると自動的に、スタイリストになることが可能です。スタイリスト昇格試験への合格を条件とする美容室では定期的に実施される技術チェックで一定の評価を得なければ、スタイリストになれません。

なるべく早くスタイリストデビューをするためのポイント

スタイリストデビューして多くのお客さんを抱えることは、美容師にとっての喜びです。スタイリストになった後、さらにステップアップしていけば、店長やオーナーへのキャリアパスも開けます。

美容師のキャリアパスにおいて重要な意味を持つスタイリストデビューをなるべく早く果たすためには、以下2点を意識しましょう。

○さまざまな技術を磨く
アシスタントがスタイリストデビューするためには美容メニューの提供技術のみではなく、接客力・カウンセリング力も必要です。勤務時間中はスタイリストや店長の働きぶりをよく観察し、良い点を真似ることで、さまざまな技術・スキルを磨きましょう。カウンセリング中の会話やカット・カラー中の声掛け内容に耳を傾け、お客さんへの気遣い方法を学ぶことも勉強になります。

勤務時間外には毎日、はさみを動かす練習を行うことがおすすめです。練習後ははさみのメンテナンスをきちんと行い、仕事で使用する用具を理想的な状態に維持しましょう。

○研修制度が整っている美容室に就職する
これから就職する人は独自の研修制度により、スタイリストを早期育成する方針の美容室を探しましょう。研修制度の詳細は、転職サイトやお店のホームページから情報収集することが可能です。応募前に十分な情報を収集できない場合は面接時に質問し、詳細を確認すると安心でしょう。

なるべく早くスタイリストデビューできる美容室を探すためには、集客力に注目することもまた大切です。集客力の高い美容室ほど多くのお客さんと接し、実践的な場において、スタイリストデビューするために必要な技術の習得を図れます。

まとめ

美容師のアシスタントとはスタイリストのヘルプ・サポート業務を担当し、お客さんを担当する際に必要な技術・スキルの習得を目指していく職種です。美容師のアシスタントは美容室の雑務や運営サポート業務も担当し、お客さんが快適に過ごせる環境を整えます。

アシスタントがスタイリストになるまでには、2〜3年程度を要することが通常です。なるべく早くスタイリストデビューをするためには勤務時間内外の努力によってさまざまな技術を磨くこと・研修制度の整った美容室に就職することなどを意識しましょう。

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