化粧品販売会社や百貨店、小売店、ドラッグストアなどでお客様にアドバイスや販売を行う美容部員(BA、ビューティーアドバイザー、ビューティーカウンセラー)。
華やかなイメージで女性に人気の職種ですが、一方で仕事内容はハードな面も多く、離職率も高いといわれています。
美容部員の離職率について
離職率が高く人材不足が深刻化する美容業界。なかでも、美容部員の離職率は約30%(国内ブランドより海外ブランドのほうがやや高め)と高く、平均勤務期間は2年程度と言われています。入社後の新人研修についていけない、店頭配属後にプレッシャーに追い込まれるなどの理由で早期退職する人もいます。
業界全体で給与水準の引き上げや待遇改善など働きやすい環境づくりが行われているとはいえ、美容部員の人材不足は慢性的問題。
インバウンド客が増え事業拡大する店舗・メーカーも増加傾向にありますが、スタッフの供給が追いつかず、年間を通して美容部員の求人募集は豊富にあります。
美容部員を「辞めたい」と感じる理由
売り上げ目標・ノルマがある
店舗・メーカーによってさまざまですが、個人やチームに売り上げ目標やノルマが課されるケースは少なくありません。目標達成するとインセンティブが支給されたり、評価が上がるため、常に数字に追われがち。お客様の取り合いや指名競争が発生することもあり、精神的なストレスも溜まりやすい環境です。
女性社会ならではの人間関係
基本的に女性だらけの職場なので、厳しい上下関係や派閥など、ドロドロした人間関係の問題が勃発します。ストイックな女性が多く、売り上げ競争に燃えている人も少なくありません。また、キャリア意識派とプライベート重視派で対立することも。お客様だけではなく、スタッフへの配慮やコミュニケーションも求められます。
肉体労働がきつい
重たい化粧品を運んだり、検品や品出しで百貨店内を走り回ったり、体力勝負の肉体労働になります。ヒールを履いて一日中立ちっぱなしで足が浮腫んだり、タッチアップ中は中腰になるため腰痛に悩む人も。インバウンド客の多い現場では、呼び込みや接客に追われて休憩時間が取りにくかったり、人手の少ない現場では、早番から遅番まで通しで働かざるを得ない状況で拘束時間が長くなります。
接客トラブル・クレーム対応
美容部員はマンツーマンで接客をするため、クレームが発生しやすいようです。販売目標を達成したいという気持ちが前に出すぎてしまい、「強引に買わされた」と不満に繋がってしまうこともあるため、気配りや会話力が求められます。また、お客様を不快にさせないよう、笑顔にも気をつけなければいけません。
給料が低い
勤務先の雇用形態や契約内容に応じて異なりますが、全体的に給与水準は低め。派遣社員、契約社員、アルバイトなど非正規雇用の美容部員が多く、年収は200万円~300万円程度になります。正社員になると年収は上がりますが、大手化粧品メーカーや百貨店の売れっ子にならない限り、高収入の実現は難しいでしょう。厳しい職場環境のわりに稼げないという不満を抱えた美容部員は多いようです。
美容代がかかる
常に美しさが求められる美容部員は、日々の自分磨きを怠ることはできません。肌へのストレスが大きい現場のため、念入りな保湿やスキンケアが必要不可欠です。また、自社他社問わない新作コスメのチェック、美容院、脱毛、フェイシャル・痩身、エステサロン、美容鍼、ネイル、まつげエクステ、美容サプリ……、薄給にも関わらず美容にかかる出費がかさみます。
ライフスタイルの変化でやむを得ず
結婚、出産、育児、介護、夫の転勤など、女性のライフスタイルは変化するため、やむを得ず退職ということも少なくありません。正社員であれば育児休暇が取れる場合もありますが、契約社員やアルバイトの場合は辞めざるを得ません。正社員でも、出産後は子育てしながらでは希望通りにシフトが組めず、復帰を諦めるケースもあるようです。
納得のいく求人選びで離職を避けましょう
せっかく美容業界に就職するからには、長期的に続けたいもの。離職を避けるためには、まず応募先の情報収集をして研究することが必須です。
例えば、未経験の方は「未経験歓迎」を謳っていたり、研修制度が充実した求人、育児後に仕事復帰したい方は「ブランク歓迎」の求人に絞って選ぶと良いでしょう。
応募前に、検討中の企業やメーカーの販売店に足を運んで様子を伺ってみるのも応募の手がかりになるかもしれません。
まとめ
美容部員は華やかさとは裏腹に、売り上げ目標、肉体労働、低収入、女社会の人間関係などが厳しく離職率の高い職種です。
長期的に続けるためには、まずは求人選びを慎重に行いましょう。
そして入社後は、ただ漠然と勤務するのではなく
「自分が将来どうなりたいか」、「どんな美容部員になりたいか」を
思い描きながら働くことがモチベーションを維持するポイントです。