4月。
新しい環境に身を置いて、まだ数週間。
気づけば、「もう辞めたいかもしれない」と思っている自分がいる。
初出勤の日はこれから頑張ろう思っていたはずなのに。
その気持ちは、思っていたよりも早く、不安に変わっていきます。
でもこれは、あなただけではありません。
毎年、同じ時期に同じ気持ちになる人が、たくさんいます。
そしてそれは、「弱さ」ではなく、
むしろとても自然な反応です。
人は、環境の変化に強くありません。
初めての職場。
初めての人間関係。
初めての仕事。
それぞれは小さなことのように見えて、
同時に重なることで、想像以上に大きな負担になります。
覚えることが多い。
気を使う場面が多い。
常に気を張っている状態が続く。
その結果、心より先に、体が疲れていきます。
「なんかしんどい」と感じるとき、
それは気持ちの問題ではなく、ただの“疲れ”であることも少なくありません。
もうひとつ、見落とされがちな変化があります。
それは、「教わる側」から「見られる側」に変わったことです。
学生の頃は、できなくても当たり前でした。
でも社会に出ると、できるかどうか以上に、
“どう見えているか”を意識するようになります。
ちゃんと動けているか。
気が利いているか。
空気を読めているか。
誰かに言われたわけじゃなくても、
どこかでずっと評価されているような感覚がある。
この見えないプレッシャーが、静かに積み重なっていきます。
そして、美容師という仕事は特に、
「できない自分」と向き合う時間が長い仕事です。
覚えられない。
うまくできない。
同じことで注意される。
一日一日、小さな“できなさ”を突きつけられる。
それが続くと、少しずつ自信が削られていきます。
本当は昨日よりできていることもあるのに、
人はどうしても「できなかったこと」の方に目がいってしまう。
気づけば、「向いていないのかもしれない」と考えてしまう。
でも、ここで一度立ち止まって考えてみてほしいです。
本当に、それは「向いていない」のでしょうか。
それとも、ただ「まだ慣れていないだけ」でしょうか。
最初からできる人はいません。
むしろ1年目は、できないことが前提で、
失敗することが仕事の一部です。
失敗しながら覚えていく。
怒られながら理解していく。
それが、本来の成長の形です。
それなのに、真面目な人ほど、
「ちゃんとやらなきゃ」と思いすぎてしまう。
そして、できない自分を責めてしまう。
実は、4月に辞めたくなる人ほど、
誰よりもちゃんと向き合っている人だったりします。
もし今、少ししんどいと感じているなら。
大きなことを変えようとしなくて大丈夫です。
ほんの少し、見方を変えてみてください。
「ちゃんとできたか」ではなく、
「今日は何が分かったか」で一日を終える。
同期と比べるのではなく、
昨日の自分と比べる。
できなかったことより、
ひとつでもできたことを思い出す。
それだけで、心の負担は少し軽くなります。
そして、意外と見落としがちですが、
ちゃんと休むことも、とても大切です。
新しい環境にいるだけで、人はかなりエネルギーを使っています。
帰ったら何もしない日があってもいい。
スマホを見続けるより、少し早く寝てもいい。
「頑張り方」だけじゃなくて、
「休み方」も同じくらい大事です。
それでも、「やっぱり無理かもしれない」と思う日もあると思います。
そんなときは、「今すぐ決めなくてもいい」と思ってください。
辞めるという選択は、いつでもできます。
だからこそ、今この瞬間に結論を出す必要はありません。
とりあえず、あと少しだけ。
もう少しだけ、続けてみる。
その余白があるだけで、気持ちは少し楽になります。
もちろん、どんな環境でも続けるべきだとは思いません。
もし、明らかに理不尽なことが続いていたり、
心や体に限界を感じているなら、離れることも大切な選択です。
ただ、その判断は、
今より少し落ち着いた状態でしても遅くはありません。
4月に辞めたくなる気持ちは、特別なものではありません。
それは、ちゃんと新しい環境に向き合っている証拠です。
そして、そのしんどさは、ずっと続くものではありません。
少しずつでいい。
昨日よりほんの少しだけ、前に進めばいい。
気づいたときには、
「あのとき辞めなくてよかった」と思える日が来るかもしれません。
焦らなくて大丈夫。
今はまだ、途中です。

