美容師のお給料事情|歩合給の割合・種類・上げるためのポイント

コラム

クリエイティブな作業が必要となる美容師の仕事は、AI化が進む将来においても安定した需要が期待できる職種の1つです。ただし、働き方によって給料システムは異なります。

美容師を目指したい人や、すでに美容師として働いているものの給料に納得がいっていないという人は、美容師の給料の仕組みを理解しておきましょう。

今回は、美容師の給料システムと歩合給を上げる方法について解説します。指名客を獲得するコツにも触れるため、ぜひ参考にしてください。

美容師の平均給料

厚生労働省が発表した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、美容師の平均給料は約3,787,000円でした。なお、この額には美容師だけでなく理容師の給料も含まれています。
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」

月収に換算すると、1か月あたりの給料は315,000円前後となる計算です。しかし、美容師は一般的なサラリーマンとは異なり、完全固定給ではありません。売上によって月の収入が変動することもあれば、美容師のランクによって基本給や歩合割合に差が生じることもあります。同じ美容師という職業でも、人によって差が出やすいことが特徴です。

【働き方別】美容師の給料の仕組み

美容師の主な働き方は、下記の通りです。

・正社員スタイリスト
・正社員アシスタント
・フリーランス美容師

美容師の給料システムは、働き方によって異なります。美容師を目指す人や他のサロンへ転職したいと考えている人は、各働き方の給料システムの違いを知っておきましょう。

ここでは、3つの働き方の特徴と給料システムについて解説します。

2-1. 正社員スタイリスト:一部歩合制(基本給+歩合給)

正社員スタイリストは、会社に雇われてサロンの正社員として働くスタイルです。シャンプー・カット・パーマなどすべての施術を行います。

正社員スタイリストの給料システムは、一部歩合制が一般的です。一部歩合制は、基本給に指名料などの歩合給が加算される仕組みです。歩合給の割合は、20~30%前後が相場となっています。

歩合給の主な計算方法は、下記の2つです。

●担当したお客様からの売上 × 歩合割合
●指名客からの売上 × 歩合割合

サロンによって歩合給の計算方法は異なるため、事前に確認しておきましょう。

2-2. 正社員アシスタント:完全固定給

正社員アシスタントは、正社員スタイリストと同様に会社に雇われてサロンで働くスタイルです。ただし、正社員スタイリストの補助的な仕事が中心となるため、対応できる施術は限られます。

正社員アシスタントの給料システムは、働いた時間に対して賃金が支払われる完全固定給が一般的です。正社員スタイリストのように歩合給が発生することはなく、売上が給料に反映されることはありません。

正社員スタイリストの給料相場は、地域やサロンによっても異なります。月給20万円以下となるケースが多く、アルバイトを掛け持ちする人も少なくありません。給料を上げるには、まず正社員スタイリストになるために必要な技術やスキルを身に付けることが大切です。

2-3. フリーランス美容師:完全歩合制

フリーランス美容師は、会社の従業員としてではなく業務委託という形で働くスタイルです。正社員スタイリストと同様に、シャンプーからセットまでさまざまな施術を行います。

フリーランス美容師の給料形態は、完全歩合制です。サロンと取り決めた歩合率によって給料が決まります。フリーランス美容師の歩合率は、売上に対して50~80%前後が一般的です。中には、月収50万円以上稼ぐ人も多く見られます。

ただし、会社と雇用契約を結んでいるわけではないため、給料の保証はありません。安定して高収入を得るには、技術力やスキルが必須です。さらに、スケジュール管理や確定申告などの仕事も、自身で行う必要があります。

美容師が歩合給を上げるための主な方法


美容師の給料アップには、歩合給を上げることがポイントです。歩合給を上げる主な方法は、下記の通りです。

指名を増やす
商品を多く販売する

美容師の歩合給には、指名による売上やシャンプーやスタイリング剤などの商品売上が影響します。歩合給を上げるには、2つの売上を意識することが大切です。

ここからは、美容師が歩合給を上げるための具体的な方法を紹介します。

3-1. 指名を増やす

お客様からの指名を増やすことは、歩合給を上げるために最も大切な方法です。歩合割合や指名料が高いサロンほど、指名による歩合給を上げやすいと言えます。給料を増やすためにも、お客様のニーズに応えることを意識して、コンスタントな指名獲得を目指しましょう。

指名客からの売上をもとに歩合給が決まる場合、売上の20~30%前後が歩合給となります。また、指名料の20~50%前後を歩合給とするサロンもあります。「美容師のランクにより歩合割合が変わる」「指名料がすべて歩合給となる」など、歩合給の決め方はサロンによってさまざまです。

3-2. 商品を多く販売する

歩合給を上げるには、店販に力を入れることも1つの方法です。正社員アシスタントの場合でも、店販の歩合給が上乗せされるサロンもあります。

美容師がシャンプーやスタイリング剤などの商品を販売すると、売上が給料に反映されることが特徴です。お客様の多くは、信頼できる美容師から商品を購入するため、店販は指名にも影響します。店販の利益が高いほどリピート率が高くなる傾向にあるため、美容師はもちろんサロンにとっても大きなメリットとなります。

店販の平均的な歩合割合は、10%前後です。1万円の商品を販売すると、1,000円の歩合給が上乗せされる計算です。サロンによっては、歩合割合が平均以上の場合もあります。ただし、固定給自体が低く設定されていることがあるため、バランスを見て決めることが大切です。

指名が少ない原因|多くの指名客を獲得するためには?

指名が少ない場合に考えられる主な原因は、以下の通りです。

○接客レベルが低い
技術力が高くても、お客様に不快な思いをさせてしまえば次回の指名にはつながりにくくなります。施術途中でトイレ休憩や雑誌交換の必要がないか声かけをするなど、お客様の立場に立った接客が必要です。

○カウンセリングが十分ではない
カウンセリングが不十分だと、お客様のイメージと実際の仕上がりに差が生じやすくなります。カウンセリングでは、お客様の理想を聞いた上で、髪質に合ったカットやスタイリングなどを提案しながらイメージを共有しておくことがポイントです。

○身なりがだらしなく清潔感がない
服装や髪形などの身なりがだらしないと、お客様に「清潔感がない」「不快に感じる」などの悪い印象を与えます。メイク・アクセサリーや香水の付け方など、普段の身なりを見直してみましょう。

○無表情で愛想がない
清潔感のある身だしなみで接客やカウンセリングを丁寧にしていても、無表情で愛想がなければ印象が悪くなることがあります。自然な笑顔で対応できるように、鏡を見て練習しましょう。

フリー客は日々入っているのに、「なかなか指名につながらない」「指名客が増えない」という場合は、お客様のニーズに応えられていないことが考えられます。

技術やスキルを身に付けて腕を上げることも大切ですが、接客やカウンセリングでお客様の希望を徹底的に把握することが最も重要です。指名客を増やして給料を上げるためにも、まずは自分に不足している部分を明確にし、課題をクリアしていきましょう。

まとめ

美容師の給料システムは、働き方によって一部歩合制・完全固定給・完全歩合制の3つに分類されます。正社員アシスタントは完全固定給が多く、正社員スタイリストになるまでの期間は高収入を得ることは難しいと言えます。

正社員スタイリストは、基本給に指名や店販による売上の歩合給が上乗せされる仕組みです。歩合給の決め方や歩合割合は、サロンによって異なります。

美容師が歩合給を上げるには、「指名を増やす」「お客様に多くの商品を買ってもらう」などの方法があります。指名が増えずに悩んでいる場合は、指名が少ない原因を考えて問題点を改善しましょう。

タイトルとURLをコピーしました