フリーランス美容師とは?働き方やメリット・デメリットを徹底解説

コラム

美容室は日本全国に25万店舗以上があり、多くの美容師たちが日々腕を磨きながら働いています。
(出典:厚生労働省「令和2年度衛生行政報告例の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/20/dl/kekka3.pdf

こうした状況の中、都市部を中心にフリーランスとして活躍する美容師が増加しています。キャリアの選択肢として、検討している人もいるのではないでしょうか。

当記事は、フリーランス美容師の働き方の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説します。成功する上で欠かせないポイントについても紹介するため、ぜひ基礎知識としてお役立てください。

フリーランス美容師とは|主な働き方3つ

フリーランス美容師とは、名称が示す通り個人事業主として活動する美容師を指します。特定のサロンと雇用契約を結ばずに働くことが、正社員美容師との主な違いです。ここ数年フリーランスという働き方はさまざまな職種で広まっており、フリーランス美容師もその一つとして定着しています。

フリーランスの美容師には、3種類の働き方があります。それぞれの特徴や契約内容について、整理しておきましょう。

業務委託型

業務委託型とは、フリーランス美容師とサロンが業務委託契約を締結した上でお客様に施術をする働き方です。薬剤や備品はサロン側が負担してくれるため、美容師はハサミなど道具類を用意するだけで仕事をはじめられます。集客面も、サロン側にある程度任せることができます。

報酬相場は技術売上の40〜60%となっており、一般的な美容師の給与と比べて高収入となる傾向です。ただし、相応の技術や経験が求められる点は認識しておく必要があります。
委託契約時には「20人以上の顧客数を確保できるか」などの条件が提示される場合が珍しくありません。業務委託型の働き方は、フリーランス美容師の中では少数派となっています。

面貸し型

サロンの空いている席を借りて営業を行うのが、面貸し型です。フリーランスという言葉が最も似合う働き方であり、その呼び名は「鏡の一面を貸す」ことに由来します。働くにあたっては薬剤や道具類だけでなく、集客も自己負担で行う必要があります。報酬については、完全歩合制が一般的です。薬剤費用などサロン側の負担が少ないために、技術売上の70〜80%が報酬相場となります。

面貸し型で働くフリーランス美容師は「開業資金が貯まるまで」など、一時的な繋ぎとして仕事をしている人が少なくありません。近年は面貸し専用マッチングアプリやサービスが登場しており、これらを利用すれば手軽に仕事場所を見つけることが可能です。

シェアサロン型

シェアサロン型は、サロンとして利用可能なテナントを複数人の美容師でシェアする働き方です。一部を間借りするという点は面貸し型と共通しているものの、スタッフを含め働く人のすべてがフリーランスである点が大きく異なります。フリーランス美容師の中には、あえて自分の店舗を持たずにシェアサロンでの営業に特化している人も少なくありません。

シェアサロンの利用料金は、「月額制」もしくは「時間制」が一般的です。働き方に適したプランを選べば、経費の面で無駄がありません。予備知識としてシェアサロンはさまざまな美容師が共有するのを前提に設計されているため、座席同士の間隔などが広めに作られています。

フリーランス美容師として働くメリット3選&デメリット2選

フリーランス美容師にはいくつものメリットがある一方で、少なからずデメリットもあります。両方を把握しておけば、独立後にイメージとのギャップに悩まされることがなくなるでしょう。

ここからは、どのようなメリットとデメリットがあるのかを詳しく解説します。

メリット(1)勤務時間にとらわれない

長時間労働や休日の少なさに悩んでいる人は多いのではないでしょうか。フリーランス美容師は正社員美容師のように固定の勤務日や勤務時間がないため、時間的な面で余裕が出やすいメリットがあります。お客様に案内さえしておけば、土日休みにしたり長期休暇を取得したりすることが可能です。

通勤ラッシュを避けてサロンに通うことも可能であり、精神的・体力的な負担が軽減されます。「働き方を見直したい」と考える人にとって、フリーランス美容師は非常に魅力的です。

メリット(2)担当人数が報酬に直結する

正社員美容師として働く場合は、「固定給+歩合」という給与形態が一般的です。たくさんのお客様を担当しても給与が大きく増えることはなく、頑張りが反映されにくいのが現実です。一方で、フリーランス美容師は「完全歩合制」のため、働いたぶんだけ報酬がアップします。

独立後に収入が2〜3倍になるケースは珍しくなく、「カリスマ美容師」と呼ばれる人たちについては年収800万円以上を稼ぎ出します。フリーランス美容師は、正社員美容師として働くよりも収入が上がりやすいことが特徴です。

メリット(3)一人ひとりのお客さんとより深い関係性を築ける

正社員美容師は接客の一部をアシスタントに任せるなどして、より多くのお客様を担当することが求められます。サロンの売上拡大のためにはやむを得ないものの、これを不満に感じる人は実は少なくありません。

フリーランス美容師は、一人ひとりのお客様に対してじっくり向き合うことが可能です。最初から最後まで納得のいく技術を提供できるため、お互いにとって満足感のある接客が実現します。仕事のやりがいが増し、モチベーションを維持しながら働けるようになります。

デメリット(1)安定した収入を得られない

フリーランス美容師は働くほど収入が増える反面、安定的な収入を得ることはそう簡単ではありません。顧客を一定数確保しなければ成り立たず、集客面で相応の努力が必要となります。

完全歩合制である以上、怪我や病気などで休んでしまうと収入が途絶えてしまう点も認識しておきましょう。フリーランスは社会保険対象外であるため、傷病手当など給与保証にかかわる制度を利用できません。専用の任意保険に加入するなど、リスクに備える必要があります。

デメリット(2)雑務や管理業務もすべて自分で行わなければならない

第三者を雇わない限り、技術以外の諸々業務を一人でこなす必要があります。顧客情報管理や予約管理・金銭管理・薬剤発注、などがその一例です。慣れるまでには時間がかかるため、「スキルアップに充てる時間が減ってしまった」と感じる人もいるでしょう。

年に一度は、確定申告を行わなければなりません。毎月の収支状況を漏れなく記録し、適切に管理することが求められます。税理士に依頼する方法もありますが、「どこまでが経費で落とせるのか」など、節税に関する知識は最低限持っておく必要があります。

フリーランス美容師が成功するためのポイント

最後に、フリーランス美容師が成功するために欠かせないポイントを2つ紹介します。

〇営業・集客にも注力する

一人でも多くのお客様に利用してもらうためには、営業や集客を積極的に行いましょう。やり方は一つではないものの、最もおすすめなのがSNSやブログ・ホームページで情報発信を行うことです。インターネットで話題になれば、「カットしてもらいたい」という人が自然と増えます。Instagramのフォロワー数やYouTubeのチャンネル登録者数は、集客力を把握する指標となり得ます。いかにバイタリティーを持って行動できるかが重要です。

〇自己管理を徹底する

フリーランス美容師はあらゆる業務を基本一人でこなすことから、徹底した体調管理が求められます。良好な健康状態を保てるよう日頃の食生活だけでなく、正確な時間管理も不可欠です。予約客を大幅に待たせる状態では、次回の利用は期待できません。雑務を含め、時間の見積もりを行う習慣を身に付けましょう。

まとめ

フリーランス美容師とは、組織に属さず個人事業主として働く美容師のことです。業務委託型・面貸し型・シェアサロン型と、その働き方は3種類に分かれます。主なメリットは勤務時間にとらわれずに働ける、担当人数が報酬に直結することが挙げられます。収入が安定しにくい、すべての業務を一人で行わなければならないなどのデメリットがある点もあわせて認識しておきましょう。

フリーランス美容師が成功するためには、SNSやブログで集客を図ることが必須です。自己管理を徹底し、常に最高の技術を提供できるよう努めることも大切です。

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